講演会のお知らせ (9/12:楠瀬 博明 氏
(明治大学 理工学部教授))
2023年08月23日
講演題目:トロイダル秩序にまつわる新しい交差相関応答
講師:楠瀬 博明 氏 (明治大学 理工学部教授)
日時:9月12日(火)16:00
場所:理学部2号館4階 第9講義室
概要:
物質の対称性と機能性は密接に関係している。対称性を自発的に破る代表的な秩序としては、強磁性や強誘電性が挙げられるが、電子の軌道・スピンさらに構造の自由度までを考えると、強的な秩序の可能性はさらに広がる。強磁性や強誘電性とは異なるタイプの秩序として、近年脚光を浴びているのがトロイダルの秩序である。
本セミナーでは、トロイダル秩序に関する話題として、時間・空間反転対称性は破らず鏡映対称性のみを破るフェロアキシャル秩序[1]と時間反転だけを破るフェロトロイダルモノポール秩序[2]について紹介する。前者においては、軸性の秩序変数がベクトル量を回転させる役割を担うことから、特に電場方向に平行なスピン流を生成できる可能性があり、新しい量子伝導現象を生み出す起源になる得る。一方、後者は時間反転のみを破る秩序変数により、物理量の時間反転の性質だけを反転させる応答を生み出すことができる。これにより、電場による反強磁性の制御や電場・磁場の複合場によるカイラリティ制御などを実現できる可能性がある。これらの新しい交差相関応答について紹介したい。
[1] S. Hayami, R. Oiwa, H. Kusunose, J. Phys. Soc. Jpn. 91, 113702 (2022).
[2] S. Hayami, H. Kusunose, arXiv:2306.04017.
世話人 大槻純也(内線 7804)