岡山大学 理学部

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メダカは「顔」で仲間を見分ける 〜メダカの「顔」を見分ける仕組みは特化している?〜

2017年07月11日

  ヒトを含む多くの動物は、同種の仲間を見分ける能力を持っており、「顔」の視覚情報は最も重要です。ヒトでは顔を認識する機構が特化しており、我々が顔を見るときは特定のパーツ(目や鼻)に注目するのではなく、顔全体の情報を読み取っています。また、顔を上下逆にした場合、顔全体を認識する機構が働かなくなり、顔を見分ける能力が低下します。東京大学大学院理学系研究科の王牧芸研究員(現東京大学大学院総合文化研究科特任研究員)と岡山大学大学院自然科学研究科の竹内秀明准教授の研究グループは、メダカが仲間を見分けるために「顔」の情報を利用しており、「倒立顔効果」があることを発見しました。哺乳類以外の動物で、「倒立顔効果」を示した例は本研究が初めてです。本研究成果は7月11日、国際科学誌「 eLife 」に掲載されました。今後メダカの顔認識の神経機構を解明することで、動物の顔認識機構の進化的起源にせまることが期待されます。
<本研究成果のポイント>●ヒトが他の個体の顔を見分ける能力においては、顔の情報処理機構が特化しているため、顔が上下逆さになると、認知度が低下する。●メダカは仲間を見分ける時に顔の視覚情報を利用しており、今回、ヒトと同様に倒立顔効果が見られることがわかった。そのことから、メダカにも特化した顔認知機構が存在することが示唆された。●倒立顔効果はヒトの心理学実験では有名だが、これまで哺乳類以外の動物でその存在が確認された例がなかった。しかし本研究成果から、顔認知機構を持つ動物が広く存在する可能性が考えられる。今後サカナの研究を通して、顔認知の進化的起源の解明へ貢献することが期待される。

<発表論文情報>
タイトル: Individual recognition and the “face inversion effect” in medaka fish ( Oryzias latipes)
著  者:Mu-Yun Wang* and Hideaki Takeuchi
掲 載 誌: eLife


<詳しい研究内容について>
メダカは「顔」で仲間を見分ける 〜メダカの「顔」を見分ける仕組みは特化している?〜


<本件お問い合わせ>
大学院自然科学研究科
准教授 竹内 秀明
(電話番号)086-251-7860

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